-概要-
10代のパラ陸上選手に生じた腰痛について、症状や身体の状態、仕事・スポーツ・日常生活との関係を紹介。腰の真ん中にある棘間靭帯周辺への負担に着目し、Baastrup病という病態も参考にしながら、腰痛が起こった理由を考えた。施術だけでなく、食事姿勢の見直しや入浴、体の使い方など、日常生活でできるセルフケアも紹介しています。
結論
腰痛は筋肉だけが原因とは限らないため、仕事やスポーツ、普段の姿勢まで含めて身体への負担を見直すことが大切。
【この記事を書いた人】
氏名:坪木心吾(つぼきしんご)

資格:柔道整復師、はり師、きゅう師
施術歴:整形外科、リハビリ科、クリニック勤務の傍らスポーツ現場にてトレーナー業務に従事。
2005年、大阪府大阪市にて坪木鍼灸院を開業。
2013年、兵庫県姫路市にてつぼき鍼灸整骨院を開業。
得意分野:
・慢性的な疾患(腰痛、肩こり、関節痛など)
・自律神経の不調
・スポーツによる怪我
・睡眠障害
所属:つぼき鍼灸整骨院

今回は、19歳の男性、パラ陸上選手の腰痛についてご紹介します。
今回の患者さんは今年4月に高校を卒業しお仕事を始められました。
普段からランニングや陸上競技、マラソンに取り組まれており、パラ陸上の選手としても活動されています。ご家族からのご紹介で来院されました。
大丈夫ですよ。私たちと一緒に腰痛と向き合っていきましょう。
10代パラ陸上選手に起きた腰痛の症状とは?
最初にお話を伺うと、
「前かがみになると腰が痛い」
「腰が疲れる」
「仕事で重たいものを持つと、腰の真ん中をグッと押されたように痛くなる」
という症状がありました。
高校を卒業して仕事を始めたばかりで、さらに陸上競技にも一生懸命取り組まれています。そのため、ご本人はもちろん、ご家族も、
「このまま腰の痛みが続いて大丈夫だろうか」
と心配されていたのではないかと思います。
私自身も、これから長く仕事と競技を続けていくためにも、腰の状態をしっかり確認する必要があると考え、腰だけを見るのではなく、身体全体の状態を詳しく確認しました。
すると、
・左肩が下がっている
・左の骨盤が前方に出ている
・仰向けになると、左の腸骨が高くなっている
といった身体の左右差が見られました。
さらに、腰のどの部分に痛みが出ているのかを細かく確認しました。
すると、第4腰椎と第5腰椎の間にある「棘間靭帯(きょくかんじんたい)」の周辺に、炎症が起きていると考えられる状態が確認されました。

ここで、少し腰の構造について説明します。
背骨には、後ろに向かって飛び出している「棘突起(きょくとっき)」という部分があります。
簡単に言えば、背中を触ったときに「ボコボコ」と感じる骨の出っ張りです。
そして、その骨と骨の間をつないでいるのが「棘間靭帯」です。
つまり、棘間靱帯は背骨の骨と骨の間を、靭帯がつないで支えているのです。
腰痛は腰の筋肉だけではなく、背骨の後ろ側にある小さな骨や、そこをつないでいる靭帯などが関係している場合があります。
腰の骨を「家の柱」、靭帯を「柱と柱をつないでいる丈夫な金具」だと考えてみてください。
柱と柱が近づきすぎたり、動くたびにその周りに負担がかかったりすると、金具にも負担がかかります。
腰も同じように、毎日の姿勢や仕事、スポーツなどによって、一部分に負担が集中することがあります。
パラ陸上選手に起こる、腰の骨と骨が近づくことで起こるBaastrup病とは
今回参考にした2026年の論文では、「Baastrup病(バーストラップ病)」という腰痛について紹介されています。
「10代腰痛患者における棘間靱帯信号変化と症候性Baastrup病の頻度―MRIを施行した連続60例の検討―」
神田 裕太郎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspineres/17/8/17_2026-3132/_pdf/-char/en
今回参考にした2026年の論文では、「Baastrup病」という腰痛について紹介されています。
Baastrup病は、隣り合う2つの棘突起が近づいたり、接触したりすることで、痛みが起こることがある病態です。
イメージすると、背骨の後ろにある2本の「棒」のような骨が、動くたびに近づいて「コツン、コツン」と当たるような状態です。
その刺激が繰り返されると、骨と骨の間にある靭帯や、その周囲に炎症が起こり、腰の痛みにつながることがあります。
論文では、Baastrup病は「隣り合う2つの棘突起のインピンジメント(ぶつかる・挟まること)」によって痛みが生じる病態として説明されています。
今回の患者さんも、腰の真ん中にある棘間靭帯周辺に負担がかかっている状態でした。
Baastrup病の診断には、腰を反らしたときの痛みや、特定の棘間部の圧痛、さらに局所麻酔による痛みの変化などを確認する必要があります。
そのため今回は、「腰の後ろ側にある骨と骨の間や、そこをつなぐ靭帯に負担がかかることで痛みが出ることがある」という一つの考え方として、この病態を参考にしています。
パラ陸上選手の腰痛はなぜ起こった?仕事・姿勢・スポーツとの関係
身体の状態を確認した後、普段の生活についてもお母様と一緒にお話を伺いました。
すると、普段の食事は座卓で取られているとのことでした。
座卓で食事をすると、腰がしんどい、姿勢が崩れる、長時間座っていられないなどでお悩みだったそうです。
さらに陸上競技や仕事、日常生活での身体の使い方が重なり、腰の一部分に繰り返し負担がかかっていた可能性を考えました。
そこで、お母様と相談し、まずは食事をできるだけダイニングテーブルで取るよう、生活環境を変えることをおすすめさせていただきました。

「腰が痛いから腰だけを見る」のではなく、普段の生活の中で腰に負担をかけていることがないか、一緒に考えていくことが大切だと考えています。
パラ陸上選手に行った腰痛への施術とセルフケア
施術では、腰だけではなく身体全体の状態を確認しながら、身体のバランスを整えていきました。
また、痛みが出ている棘間靭帯周辺に対して、マイクロカレント療法を行いました。
ご自宅では、
・できるだけダイニングテーブルで食事をする
・入浴して身体を温める
・腰に痛みがあるときは無理をしすぎない
といったことをお伝えしました。
【セルフケア】テーブルで背中丸め体操
1.テーブルに両手のひらをつく
テーブルの正面に立って肩幅に開いた両手のひらをテーブルにつく。

2.両足の力を抜いて腰を丸める

両腕で体重を支えながら両足の力を抜いて腰を丸める。この姿勢で30秒キープ。
背中から腰をできるだけ丸めるイメージで行う。
※これを1日3回、2週間行ってください。
スポーツをされている方は、
「練習を休みたくない」
「早く競技に戻りたい」
という気持ちがあるかもしれませんね。
特に、これから仕事と競技を両立していく時期ですから、できるだけ早く元気に動けるようになってほしいと、ご家族も願っておられました。
だからこそ、痛みを我慢して頑張るのではなく、身体の状態を確認しながら、これからも競技を続けられる身体を大切にしてほしいと思っています。
最初に感じていた痛みを「10」とすると、その後「8」になり、さらに「2」まで下がりました。
現在では「1」程度まで痛みが軽減しています。もし腰の痛みが続いているのであれば、「これぐらい」と我慢せず、お気軽にご相談くださいね。
特にスポーツを続けている方は、痛みがある状態で無理をするよりも、今の身体の状態を確認し、できる範囲で負担を減らしていくことがいいかもしれませんね。
まとめ
この度のブログではパラ陸上選手に起こった男性の腰痛の事例やセルフケアをご紹介させていただきました。
これらのセルフケアを行なっても痛みが続く場合は他に原因があるかもしれません。
そのような場合は当院まで遠慮なくお気軽にご相談下されば適切なアドバイスをさせていただきます。
あなたが再び安心した毎日を送れるよう、全力でサポートいたします。
ご相談は当院LINEからどうぞ→https://lin.ee/OKHMNw4
079-255-8952(予約専用ダイヤル)
【監修:坪木心吾/鍼灸師 柔道整復師】
つぼき鍼灸整骨院(診療時間・アクセス)
住所:兵庫県姫路市網干区坂出160-3
アクセス:JR網干駅から徒歩約10分
電話:079-255-8952
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